2018年3月29日木曜日

『大菩薩峠』読み始める       2060

書影
船戸与一の大叙事詩『満州国演義』(全9巻)『残夢の骸』を延々とかけて昨年
読み終えたところで、また長篇未完の「大河小説」を読むことには若干躊躇する
ものがある。
時をかけて、ゆっくり読み進めたいと思っているが、、。

第1巻「甲賀一刀流」が都新聞に連載開始したのは、大正2年(1913)9月。
有名な冒頭シーン、机龍之介が甲州大菩薩峠で老巡査を理由なく切り殺すところ
から幕が開く。さらに御岳神社境内での奉納試合で相手となる宇津木文之亟に勝
ちを譲ってくれと哀願してきた内縁のお浜を犯し、そのあげく試合では頭蓋を打
ち砕いて殺してしまうほど暴虐破壊的なのである。
自分の子をもうけたお浜すら無情に切り捨ててしまう。
こうした主人公の徹底した「ニヒリズム」を描出している。
ところが、物語の流れのなかで龍之介はなぜそのような人斬りをするのかという
説明がされないまま次々とコトが起こっていくから、読む方はナゼの振幅が激し
くなり引き寄せられることになる。

時代は勤皇佐幕が入り乱れる幕末で、最初から芹沢鴨や新選組、様々な女性と、
登場人物は多彩であり、背景は膨大無辺の異常事態で生起する尋常ならざる物語
と云っていい。
藤村の『夜明け前』を正史とすれば、これは裏の歴史小説だという人もいるが。
(→次日につづく)

(←ブログ:2018・3・24 「『西東三鬼全句集』を読む」2055)




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