岡山の「長島愛生園看護婦養成学校」で研修し、その後看護婦になった小学校の
ときの友だちがいる。
このおんな友だちとは中学の後半が一緒でなかったので、看護学校に行ったこと
はのちに知った。
それも、国立療養所長島愛生園の附属看護学校と聞いて、大変な選択をしたもの
だと驚きもし感銘した記憶があります。
当時まだハンセン病はらい病といい、偏見と排除の考えが残滓していたように思う。
さて、その元ハンセン病を患った老女を樹木希林が円熟の演技で魅せる。
監督は、「萌の朱雀」で一躍注目された川瀬直美監督。
原作であるドリアン助川の小説を映画化。
物語は、下町の「どら焼き屋」に店長(長瀬正敏)を訪ね、あん作りの賄いとして使
用を懇願する意味ありげな70半ばの徳江(樹木希林)の登場がプロローグ。
何回目か、訪ねてくる彼女手作りの「あん」を口に入れて驚き、雇うことになる。
徳江が仕上げたあんに、「こんなのはじめてです!」と、店長千太郎とのやりとり。
「味も香りも全然違うんだよ、どら焼きはあんこが命でしょう」、とさとす。
どら焼きやに来る中学生若葉(内田伽羅)が「指どうされたの?」、とたずね、徳江
の「右の指がちょっと不自由なの」と、にこっと微笑む顔が微妙に良い。
また、あん作りにいそしむ老婆が腰を伸ばして窓ガラス越しに、桜並木の青葉の
下を小走りする若葉をうっとり眺めるエプロン姿のコントラストが「生」を感じさせる。
徳江は八歳のときハンセン病で入療している。
元ハンセン病患者の老女が生きる尊厳を失うことなく生きてきた姿を、自然にしみ
入るように映像化している。
らいじゃないかって、今じゃハンセン病と言うだって、、の女オーナーの排除の勧
めに苦悩する店主、、。
店長千太郎は消毒液を床に叩きつける。
徳江に接客も自由にしてください、と千太郎は決断する。
若葉は、図書館で写真を見て考える。
三者三様に思いが交差する。
ある日、徳江は桜の木を見上げ手を振りながら店を去って行く。数日後に手紙が
届く。
若菜が店にたずねて来る。辞めたよ、と告げる。
世間よりひどいのは俺だ、守れなかったのだから、、。
二人で会いに行くことになる。
若葉ちゃんぐらいのときから、ここにずっといるのよ、と同僚の佳子(市原悦子)は
語る。
二度目の訪問のときには、亡くなっている。
徳江と彫った捏ね棒とあん作り道具一式に、メッセージを添えたテープが遺されて
いた。
自然、木々、満月と対話、、。庭に植樹されたソメイヨシノが徳ちゃんの木よ、、と。
満開の桜並木のしたで千太郎の、どら焼きいかがですか!の声。
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