| 心で話す風の電話 |
大槌湾をはさんで並ぶ船越湾に開ける海嘯の調べに 朝夕耳を澄まし佇むことが
できるこの土地が気に入ったのだ。夏になれば 浪板海岸が海水浴を楽しむこども
たちでにぎわう微笑ましい光景を目にすることであったにちがいない。
最初の津波が襲来し、波が沖に引いたとき波板海水浴場の海底が露になるのを見
たという。しばらくしての第二波が凄く この世の出来事とは思えなく 魂まで抜かれ
ていかれる怖ろしさだったと語る。
写真の電話ボックスには 電話線がつながってない黒い電話がおかれている。
佐々木さんは詩人なのだ。「風の電話は心で話します 静かに耳を閉じ 耳を澄まし
てください 風の音がまたは波の音が あるいは小鳥のさえずりが聞こえたなら あ
なたの想いを伝えてください 想いはきっとその人へ届くでしょう」 と。
いまでは 風の電話で身近の誰かをを失った人を想う オブジェに見えた。
そして、写真の左斜め裏には 石の家・森の本館がすっくと在る。
[『私記』に寄せられたコメント&批評1]
今夜、食事中に栃木で特養老人ホームを運営するWからの友人・YY女史から電話
があった。『私記』の行間まで読みこんであわただしく受話器を握ったのであろうか、
うれしい評と奮闘を労ってくれた。



