秋の深まりとともに、ゆずの懐かしい匂いが記憶をよびさます。
いま、裏庭のゆずと、羽村大橋を渡った所の畑の深い緑の繁みのゆずが、熟す前
の青光りの輝きを放っている。
ゆず独特のさわやかな香りが大好きで、わが家の日本料理には古くから使ってい
ます。
ゆずのしぼり汁は、11月から12月下旬の成熟した黄柚子を、新鮮なうちに果
汁を絞って「柚子酢」にする。更にその一部を、冷凍庫でブロックシャーペット
にして、家伝・バラ寿司の合わせ酢に使ったりしている。
柚子の原産地は、揚子江上流域とみらている。日本に伝えられたのは奈良・飛鳥
時代といわれ、主に薬用として広まった。
肺結核を長く患った母は、ゆずの果汁も皮も種子も擂り潰して飲み、薬効がある
として、日常の食用としてばかりでなくありがたがっていた。
種から育つ柚子の木は、実のつくまでの歳月が長く花芽がついたとき感動する。
台地に根を下ろした樹の寿命は永く、毎年、美しい実を育て、香りとともに次々
へと伝承されるはずです。

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