2022年3月1日火曜日

砂川文次「ブラックボックス」を読む 3394


主人公サクマの日常は、雇用環境が悪化し格差が拡大し続けるブラック社会の
まっただなかに身をおいて疾走する。
その仕事は自転車配達便メッセンジャーと言うらしい。
メッセンジャーとしてのサクマの日々が、客観的に執拗にこと細かく自転車を
こぎ続けるなかでの心情や風景と重なる。いつになったら車輪の回転が止まる
か分からない不安がつのる。(飽きさせない。)
サクマという男の不穏さから何かを起こしそうな生き方をリアルに表出してい
る。
閉じ込められているイメージ(安部公房)、主人公の肉体感覚(村上龍)、言
葉の暴力(中上健次)らの系譜に近いのかなと思いながら読んだ。
(第166回芥川賞受賞作)

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