井上光晴の小説を、脚色、監督した熊井啓の「地の群れ」を観た。
最近初のDVD化されたものを45年ぶりに再度観たことになります。
最近、長崎の「軍艦島」や炭鉱労働者、差別問題が、最近やたらと浮上してきて
おり、少年時代の炭鉱生活がもとになっている井上光晴の『地の群れ』を思い出
した。小説の再読でもよかったが、手っ取り早く映像で観たくなった。
45年まえのスクリーンのなかの終わりのほうで、出演していた宇野重吉がまるい
サングラス越しに犯罪者の息子を守る姿と表情や声に凄みを帯びていく演技が
忘れないで思いだされた。スゴイ演出家であり、映画で多くは脇役であったが名
優だった。
昭和16年の佐世保にはじまって、戦後、米軍軍港となった時代背景のなかに、
熊井啓監督は、在日、ナガサキ被爆者、被差別部落といったタブーをとりあげて
いる。
徹底的に内なる二重の差別と排除がさらなる差別を生む構造を、これでもか、
これでもかと、暗い画面に塞ぎこむ。
出口のない、開放される場所もない、諍いがいさかいを生む狭い籠のなかで地
べたを這いずり回っている「群れ」を見るのはつらかった。
井上光晴が、新宿「ナルシス」のカウンターで彼特有の大声でフィクションを精密
なディテイルで展開されるので、既に「小説化」が始まっているように思える経験
をしたことがある。
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