2020年10月23日金曜日

社屋があった伝通院の思い出 補遺⑭ 2999

ロイヤルティ方式による、ほるぷ版『日本の民話』は「図書月販」の強力な販
売力によって大きな成果を上げた。そのロイヤリティ収入が、未来社の経営に
多大に寄与したことは間違いない。そのことによるプラス面と、ほるぷ版に依
存するその反動を西谷社長は危惧して、自前の「企画の厳選」を強く打ち出し
ていた。
営業においては、注文制の浸透と強化について未だ研究課題がひしめいており
ドラスティックにはいってなかった。

そうしたなかで、新社屋の建設が同じ地所文京区の伝通院裏で進められた。
1982年3月の竣工。
初めて伝通院裏の未来社に行ったときに見た木造社屋は、玄関を入ると直ぐ営
業事務所と倉庫があり、道路までセリだして返品整理をしている風景に遭遇。
二階の編集室から中三階の社長室へは、本函やカバーで壁になった階段を縫う
ようにして上がったものです。
でもこのオンボロ社屋から、丸山眞男や埴谷雄高、木下順二、花田清輝、西郷
信綱、島尾敏雄、竹内好、梯明秀、大井正、藤田省三、武田泰淳、上野英信、
山代巴そしてE・H・カーらの名著が生み出されてきたことを思うと感慨深い。

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