2020年4月28日火曜日

漱石の『坊ちゃん』(文庫版)を読む 2820

岩波文庫版の書影
食卓の片隅に岩波文庫『坊ちゃん』が置いてあったので、手にして読み始める。
コロナ禍臨時休校中のハルに出されている宿題本(読書感想文)らしい。

夏目漱石の小説はむかし文庫で、その後に岩波書店から1966年に出た『漱石全
集』(第2巻)で「倫敦塔」「草枕」などの短篇と一緒に読んでいる。
そしてまたこの文庫を読みたくなったのは、出てくる地名やお寺がさらに身近
に感じられたからです。小川町、神楽坂、小日向の養源寺、、、

年取りながら本を読むとはこういうことかと、納得できてうれしい。
エピローグの子供のころの腕白で無鉄砲ぶりからして、自分もなぁと思ってみ
たり、祖母の周辺のひとへの手伝いができ優しいと言ってくれることを褒め殺
しではないかと内心反発する側面があった。
下女の「清」と別れて、数学の教師になり四国松山の中学校に赴任する。ここ
からは皆が知っているストーリー。教頭の赤シャツや野だいこを鉄拳制裁で懲
らしめる痛快青春小説の趣になる。

ところが悪態三昧の坊ちゃんのそれは一面で、実は過渡期の社会に危機感を抱
いていた抗いの姿ではなかろうかと今は思えるのだ。
それから東京に帰ってきて、街鉄(市電)の技手になってから社会を見る目の
移ろいに一層投影されている。
そして最後に「清が死んだら、坊ちゃんの御寺に埋めてください。」といった。
だから清の墓は小日向の養源寺にある。

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