2016年8月8日月曜日

『塚本晋也『野火』全記録』を読む     1461    

書影
塚本晋也監督の『野火』が公開されたのが一年前で、今村昌平監督の『野火』を
観てから57年を経ていた。

今村監督の場合、『豚と軍艦』など強烈な戦争風刺映画を観て、土俗的な日本人
の精神のありように肉薄する視線を察知してきたが、塚本監督は戦後70年の今、
いったい何を問うのか、期待しながら観た。(ユーロスペース)
原作者の大岡昇平も映画のできばえを、精神のリレーとして大いに喜んでいると
思う。

塚本晋也は言う。
当時は戦争から離れたい一心で戦争体験を消し去ろうとしたはずだが、今は戦争
体験を消し去るのは、無自覚に戦争に近づいてしまうことを意味するようになって
しまった。

そしていま、『塚本晋也『野火』全記録』を手にして、この完全自主製作・自主配給
映画が不安を抱えながら公開にこぎつけて、全国劇場行脚をつづけ、そして世界
に「野火」が燃え広がっている事実を知る。
自主製作になった経緯を、10年ちょっと前までは『野火』の企画自体は「いいです
ね」という会社もあったが、それが数年前からは、その企画の話をするだけで煙た
がれるようになったという。

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