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| 書影(1971・9刊/筑摩書房) |
出して、しばし布クロスの手触りを懐かしむ。
第5巻には、「流人島にて」、「異形の者」、「ひかりごけ」等が収められている
が、「汝の母を!」から読み始める。
初読のときは、「ひかりごけ」の人を食べた船長の心性に強い関心があたが、
「汝の母を!」の悲惨な加害者の行為と被害者の哲学的問答の深みを読み
過ごしていた。
時間の経過なのか、歴史の学習からなのか、そこで語られている事実の深刻
さをこの歳で気づかされた。
武田泰淳は広大な経験を細部にこだわって、ことの核心を「小説」にしている
ことを、あらためて実感した。
そして、最近読んだ中島敦にも通じるところがあると思った。
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