「シャーシャーシャー」かすかに聞こえるなぁ というレベルの音。
耳が遠くなる前までは、どこから何の音がしているのか聞き分けできていた程
の物音が、つまり2㍍先の水槽用ミニ扇風機の風を切る音が、ひとの気配にな
ったり、庭から聞こえる虫の鳴き声のように思えるのである。
最近では不思議なことにひとり居間で新聞を読んでいても、この無音でない環
境の微妙なバランスがきにいっている。
これだけ長く蜜な日常のなかで音がないと不安になる。微かな音に救われ安心
する昨今。
あれだけ好きだった雑踏が急ににおっくうにになっている。なので、寡黙でわ
ずかに発する風の音よ、もうしばらく付き合ってくれ。
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