ホラー映画は好みではないが、黒沢作品の人間関係にリアリティーを感じ、つい
観る側に引っ張られる。
キャストは、主演俳優タハール・ラヒムに、コンスタンス・ルソーを銀板写真の
おんなに配す。
フランスの郊外の古びた旧邸宅を舞台にした景観の、ファーストシーンにダゲレ
オタイプ写真焼付用の暗室があったり、人物写真撮りのために被写体を固定する
器具が乱雑に置かれた空間にゾッとする。
この古屋敷の主人である写真家の助手アルバイトとして青年ジャンは門をくぐる。
写真家ステファンは、娘であるマリーをモデルに170年前に開発された写真撮影
技術ダゲレオタイプの再現に心血を注いでいる。マリーは長時間の拘束を要する
父親の要望にそっているものの、好きな植物にかかわれる植物園で自立して働き
たいと思っている。そして、就職が叶いジャンと喜びあう。
ステファンの亡き妻もダゲレオタイプのモデルだったが、屋敷に隣接する温室で
首つり自殺を遂げており、幽霊の幻影に彼は悩まされている。
そんな時、この屋敷を高値で土地開発業者(ステファンの旧友)が売ることを勧
める。
この辺りから下世話な話に急展開する。ある夜マリーは、屋敷の二階から階段を
転倒しジャンの運転で病院に向かうが、湖畔でスピンして事故ると傷ついている
はずのマリーの姿は忽然と消失してしまう。
はたして、死者との恋だったのか、、。
写真と死が重層構造になっていて、優しくも寂しげな瞳が写ろう幽霊の登場が、
幻影と現実を往還する。
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