波板観光ホテルと民宿サトウのこと。
今回の宿泊先は、初日から大半が釜石のホテルだったのであるが、最後の二日間
は土曜日と日曜日にあたったため、大槌町の民宿にお世話になった。
一日目は、佐々木さんと一献交えながら森の図書館の開館を祝したのであるが、そ
の際、当民宿のご家族に津波による被災者があったことを小耳にした。
が、民宿の女将の振る舞いが爽やかで、地産の野草や餅つきの食に関わることか
ら女学生時代の街並みの様子などの話に及んだので、いまある不幸について重き
が無くなっていたのだった。
いよいよ東京へ帰る朝、食事を済ませ自動車に荷物を積み込み帰り支度をしてい
る時、庭先に出ていたご主人にそれとなくお悔やみを言った。信じられない話に耳を
傾けることとなった。
民宿サトウから、大津波で崩壊したままの波板観光ホテルが目と鼻の先の松林に
透けて見える庭に、無造作にビール瓶ケース台に花とビールと酒の空き缶がのせ
られていた。宿泊客が浪板海岸を眺めながら一杯やった残骸かな とおもったので
あるが、そんな牧歌的風景ではなくて、津波にさらわれた行方不明の31歳の息子
さんと毎日対話しているのだと淡々と語られた。
息子さんは消防士で、津波で溺れかかっている波板観光ホテルの従業員らを、他
の二人の消防士と国道からホースを使って救助にあたっていた。一人は引っ張り上
げたが、さらに流されているのを見て自らホースを伝って救出に向かったが、どっと
濁流が押し寄せ飲み込まれたのだろうか、行方不明になってしまった。合掌。
浪板海岸は、寄せる波しかないことで有名で、きれいな松並木と長く続く砂丘が、海
水浴やサーファー、キャンプ客を呼び寄せる人気のスポットであったが、賑わいを取
り戻すには時間がかかるでしょう。
消防団員数は岩手・宮城27市町村のうち、被災前後の減少増減率を見ると、大槌
町が最も高く9・4%減で、211人から20人少なくなっている。
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| 浪板海岸(1012・5・14撮影) |

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