2022年5月26日木曜日

ポーランド映画『地下水道』を見る  3479


ポーランド映画を代表する監督アンジェイ・ワイダの『地下水道』(1956年)
を十数年ぶりにDVDで見る。

かつて、第一次安保闘争終焉後の秋に、W文学部自治会主催で上映した経験が
ある。
ドイツ軍によるポーランド侵攻を13歳のとき目前にしたワイダは、監督デビュ
ー作、『世代』(54年)以降、一貫して祖国の複雑な歴史やトラブルに焦点を
当てた作品を公開してきた。『灰とダイヤモンド』(58年)と共に三部代表作
である。
現在のロシア軍によるウクライナ侵攻を目のあたりにして、映画の見方も変わ
ってこようと云うものだ。

1944年8月、ドイツ占領下のポーランドで、地下軍とワルシャワの市民は武装
蜂起を決行。2ヶ月に及ぶ激しい戦闘による犠牲者は20万人にのぼった。この
ワルシャワ蜂起の惨状を徹底したドキュメンタリータッチで描きつくす。
本作で描かれているのは、軍隊と軍隊の戦争場面ではなく、「蜂起」慣れない
銃を手に次々に倒れていくのは彼女ら一般市民。ドイツ軍の猛攻でポーランド
地下軍は壊滅寸前に陥る厳しい戦いを強いられている。
首都ワルシャワの地上の風景は、建物は破壊しつくされ、廃墟と化している。
(80年前の歴史的事実が、いまのウクライナのリアルな現況と二重写しに見え
てくる、悲劇の連鎖だ。)
この映画のラストシーンは、何度見てもやり場のない憤りを感じる。
暗闇の地下下水道を、ドブネズミのようにはい回り逃亡する兵士たちはドイツ
軍が仕掛けた罠にハマったり、はぐれたりして息絶えていく。
最後にヴィスワ川対岸が見えるマンホールにたどり着くが、はめられた鉄格子
で川には出られない。対岸には旧ソ連援軍駐留したままで見殺しにする。
暗黙のうちに、ソ連スターリニスト批判になっている。

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