2013年1月9日水曜日

311後に書かれた『死霊』論


3ヵ月分が届き、早速4時間かけて通読した。よろずの情報が得られてありがた
いことです。

埴谷雄高について書かれたものが、昨年半ばに刊行されたことは知っていたが
この度、黒古一夫の書評に触れられなければ忘れ去るところだった。
埴谷雄高『死霊』論ー夢と虹(御茶ノ水書房刊・3,200円)

僕が、洋泉社として出発した最初の第一冊が、埴谷雄高の「『死霊』論ー頭蓋の
シムフォニイ」(白川正芳編)でした。
戦後文学に関心をもつ者には周知のことに属するが、敗戦直後の1945年に、
第1章が発表されて、今日にいたるまで未完に終わっている特異性際立つ作品
です。
第7章が発表された1984年の翌年に洋泉社の「『死霊』論」は刊行されました。
『死霊』論は、まったく同時代の武田泰淳、大岡昇平を始めに、小川国夫、高橋
和巳、大江健三郎、加藤典洋ら多くの批評家、作家、文学研究者によって時代
時代に相応した形で論じられてきました。
しかし、本書は「3・11」後の状況のなかで、それまで書きとめてきた草稿を全面
的に改稿して出版されたとされている。

「『死霊』とは、人類にとって希望の文学なのである。」と、未来へ開かれた文学
作品であり、「精神のリレー」へ昇華されていると読み解いている。
これまで難解な観念ニヒリズム小説、形而上学小説と言われてきているが3・11
以後の状況を経験している私たちへの言づけであると。
今は亡き栗本薫が『死霊』を推理小説風に解読して見せたが、本書もまた新しい
価値観から発せられた作品・作家論の誕生であろうか。


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