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| 書影(小学館文庫刊:2010・10 ) |
迂闊にも、作家、佐藤泰志の名前は頭脳を素通りしていた。
新年早々に、『そこのみにて光り輝く』を観て、彼の作品映画化であることを知る。
作者の自死後(1990年)に、同世代で話題になり評価が高まったようです。
同世代の作家、中上健次や村上春樹とは違ってテーマや物語に軽やかさや神話
的風土性などはない。
自分の生きている現実に向き合い、リアルに人間関係を掘り下げ紡いでいく手法。
そのバックボーンは、作家を若くして目指す著者が、1970年代前後の熱い高揚
感から醒めて、厳しい実生活の喘ぎのなかから生まれた文体に思える。
といって、これは私小説では決してない。
本書は、作者の故郷の函館を舞台にした市井の人々の生活を凝視する長編小説。
描出される恋愛、友情、格差社会を見つめる底辺の暮らし、その異化作用に共感
できる。
他に、『海炭市叙景』は、1991年に集英社から単行本として発行されている。

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