これだけいろんな事件や問題が日々生じると、記憶にとどめてログしておくと
と云うより、過去のことや、生きながえる先のことに思考をめぐらせるほうに
興味が湧く。
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| 乳母車(ベビーカー) |
もの忘れが度々あるようになった。だが一方で忘れがたい記憶と云うものがあ
る。前にも触れたが、さかのぼって自分が覚えている一番古い記憶って何だろ
う。胎内記憶まで覚えているという作家さえいるが、僕の場合は、何かのきっ
かけで、手に触れるような感覚と夏の陽ざしの情景がありありと甦るのである。
満2歳のころだろうか。生まれ育った岡山県美作地方の山あいは、清流が緑の
山林に挟まれ畑と田んぼが広がっていた。
夏風邪でも引いたか、発熱が下がらないためなのか祖母が乳母車を押して村医
者まで4キロの一本道を行く。炎天下を稲穂の草いきれと蝉の声を感じた。
医者(三村先生)にはどんな治療を施してもらったかまったく覚えていない。
すこしばかり下りの帰り道が正宗の家に近づくと人影が現れた。そのぽつんと
した点は、僕と祖母を待ちわびて手を振っている母親であることがわかった。
帰り着いて抱き上げられるまでどれほどの時間があったのか消失している。
祖母は、「心配するほどのことはないよ」、ぐらいのことを言ったと思うが、
言葉のやり取りも記憶にない。

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