あの震災から12年が経った。
それからの歳月を、造園業(剪定士)を営む平凡な日常ながら大地を踏みしめ
生きる主人公(坂井祐治)と、妻や友人の物語。
場所は仙台市の南にある亘理町とされる。「荒地」は亘理のリアルではなく、
心のなかの災厄な「風景」として描かれている。
祐治は、最愛の妻を病で、そしてやがて友人・明夫を自死で失ってしまう。
最期に明夫が、祐治たちにさくらんぼを配って回る場面が印象に残った。
亘理橋、阿武隈川に蔵王連峰、仙台湾、釜石港、巨大な防潮堤、川と海の境目
で釣りをしながら思いをめぐらす祐治の静かな姿がある。
12年前にこの沿岸一帯は大津波によって人々を飲み込んでいった。
東日本大震災を文学として表出する難しさを指し示している。

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