2022年12月20日火曜日

武田泰淳「「ゴジラ」の来る夜」を読む3687

   自宅の近所上高井戸(1960年)        
『武田泰淳全集 第六巻』を引っ張り出して、「貴族の階段」を読み終えて、
続いて同載されていた「「ゴジラ」の来る夜」に関心が傾いた。
60年ほど前のこの小説は、雑誌「日本」の昭和34年7月号に発表。

武田泰淳さんは、埴谷雄高さん野間宏さんとのつきあいで知っており、第一次
戦後派の小説家でもあり、『風媒花』や『ひっかりごけ』などは好んで読んで
いる。だが、この「『ゴジラ~』の来る夜」という奇妙な本編は未読でした。

タイトル通り、ゴジラ襲来に怯える東京を舞台とした小説は、経済団体の副会
長であるが、対ゴジラ作戦の「特攻隊」に配属されたことから物語が開始。
最新の映画『シン・ゴジラ』の危機対策シミュレーションゲームとは異質で、
小説では肝心の対ゴジラ作戦の戦略が明かされることはない。選ばれし特攻隊
員の間はいたって楽観的な気分で満ちている。
そんななかで、いよいよゴジラによる破壊が開始されるが、それでもゴジラが
その姿を現すことはない。透明ゴジラは家を踏みつぶしながら破壊して行った。
潜在的宗教者泰淳が描く「ゴジラ」による破壊の場面は、人類に対する神の報
復であり、同時に等しく救済であるかのごとき身につまされる思いになる。

現代の強権者の言動はあまりにもあからさまだ。
武器には武器をもって対峙せよと、度し難い前のめりになってきた。 

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