松本清張の小説はどこをどう読んでいるかがポイント。
清張自身がその部分で格闘しながら生まれたのが小説でありノンフィクション、
古代史論だから。
短篇「月」を読む。
ちょっと前に学問する学者の生き様の深淵にかかわる短篇小説(「断碑」)を読
んでいるが、「月」もその系列に入るのだろう。
学問の世界での孤独や葛藤を描出し、心の内面の心理描写が巧み。
物語の主人公、伊豆享女子大の教授で歴史学者。学生の綾子を助手として協力
してもらうことになるが、次第にかけがいのない存在になる。しかし、彼女は
卒業すると郷里の九州に帰ることになる。そして結婚の知らせに心が乱れる。
題の月の字は動揺と不安を感じさせる一字になっていて、最後の一行に吃驚。

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